いつもオリジナルな独特のものを作られているNさん。趣味?の高下駄をつくりました。これで長距離を歩く高下駄同好会にも所属されています。今回は作る工程を追いながらみていきましょう!
- 仕様
size:L250×W150×H150 (mm/約)
材料:桐・朴
材料費:〇〇円程度(Nさんが販売もされているかもしれないので内緒です!)
桐の下駄のできるまで。
大きな桐の塊から材料を切り出していきます。下駄の表面は桐・歯になる部分は朴の木でつくります。
まず桐のブロックをバンドソー(帯鋸)という機械で割ります。
真っ二つに。でも、ただ真っ二つにするだけでなく、ここは木工教室。木の使い方、木目や、耐久性など
細かくNさんと打ち合わせをして、どう割るかとやりとりさせていただきます。
Aで切ると、足の乗る面は柾目という「通直に近い」木目になります。
Bで切ると、足の乗る面は板目という「たけのこ模様」がある木目になります。
どちらでも好みで選んでよいのでしょうか?正解は「自由」です。ですが、木の特性を知っておくとなおいいものができるでしょう。
Aで切る(割る)と柾目が表面に出てきます。柾目を表面に持ってくる
メリットは伸縮しづらい。反りづらい。
デメリットは繊維が通直なので、場合に寄っては真っ二つに割れることがあります。
木目は真っ直ぐという意味できれいです。
Bで切る(割る)と板目が表面に出てきます。
メリットは、繊維がランダムなので割れづらい、たけのこ模様が木らしくきれい。
デメリットは、伸縮しやすい、反りやすい、という部分。
また木目(年輪)で見た場合でも考え方があります。
上の年輪が丸太です。この丸太を板にするときに板目・柾目をどう取るかを考えながら取ります。
たけのこ、あるいは山の等高のような模様が板目、まっすぐなのが板目。
ここでワンポイントなのですが、年輪の模様で色が濃くなっている部分は、晩材といって冬に育ったところ。ゆっくり育つので緻密で硬い組織です。
いっぽう木の本来の色らしい薄い部分は春材といって、春から秋に育ったところ。すくすく大きくなるので組織は柔らかいです。
これを板にした図を見ると、下駄の表面に持ってきた場合、柾目と板目では板目の方が春材(柔らかい部分)の面積が多いですよね。
木をこすったりすると、この柔らかい部分からすり減っていき、晩材(濃い部分)はあまり削れません。
つまり、すり減ったときに足の触りが良いのは柾目、また、同時にすり減りずらいのも柾目、というのがわかります。
私は木工教室指導員なので、下駄の木取りについてはわかりませんが、Nさんが調べたところ、やはりだいたい柾目でとっているようです。
加工の風景
上記の理由から柾目に取るようにします。
きれいな通直な模様が現れました!
昇降盤という大きな卓上丸ノコで加工をしていきます。歯の入る溝をほり、先端と尾の斜めを切り出していきます。
尾は昇降盤の歯がとどかないので、途中まで切り込みを入れ後は手作業。
かんなで平面を出していきます。
こうして4面を削り、大小2つの下駄ができました!
今ではNさん、たくさんの下駄を量産されています。
この鼻緒の部分も手作り。巻いた布生地に綿を詰め、一つ一つ編まれています。
完成したものを履きたかったですが、臆病な私は転びそうでできませんでした!
みなさんもこれからの季節、下駄を見るようになったら、こんな制作工程と、木の使い方、ぜひ思い出してもらえたら嬉しいです。
ユニークです。マニアックです。
Hさん、コメントありがとうございます!最近頑張ってブログ更新頻繁にしてます!遅れてる作品もたくさん
またHさんの作品も紹介させてください!