こんにちは、辻です。教室にも最近置かれている【FineWoodWorking】という雑誌をご存知でしょうか?
英語で何やらわからないし、開いてない方もいらっしゃると思います。今日はそのfinewoodworkingのご紹介です。
木工を志す人はたいてい知っている!?木工の「暮らしの手帖」的雑誌。
わたしのこの本との出会いはまだ私が20代で、新潟で映像制作業を務めていた頃、
ひょんなことからオーダー家具制作の伊藤信行(nob’s craft)さんと知り合った時。
僕もまだDIYという言葉が定着していない時代から「日曜大工」が好きで、家の改装や家具作りなどをしており、週末になると工房に出入りするように。(まだ木工技術の「ー」の字も無い頃です。←木の横棒です)
魅力的なシェルフやおもちゃ、椅子、図面、治具、が並ぶ工房で、素人の僕にニコニコしながら少しずつ木工技術を教えてくれました。(材料費だけでいつも付き合って頂いて本当に感謝。)
本棚には日本の技術本よりも、洋書の家具の本がたくさん。そのなかにきれいに整頓され、ずらりと並んでいたのが【Finewoodworking】です。そう、そんなに昔からある本なんです。
見慣れた日本の木工家具、というより、アンティークのような猫脚やモールディングはその当時の僕にとって憧れでした。
こんな家具が作れたらなぁといつも思いつつも当時は英語も写真も何をしている所なのか、説明しているのかわからなかったのですが、そのときのワクワクは現在以上だったと思います。
そのときにノブさんが言っていた、「まぁ、特別にすごいことが書いてあるわけじゃないし、日本の技術や理論の方がもっとすごいんだよ^^」という言葉が今わかる気がします。柔よく剛を制す、というか抜く所は抜いて、しっかりすべきはきっちり。というべきか。
木工でどこでも生きていけるような、感覚的な技術が腕に付き、形のあるものを残せたら、と会社を辞め、訓練校に行き、オーダー家具製作業で修行し、今に至る若輩ものです。(給料はどこでも生きていけなくなるくらいに減りました。)
今見ても、FineWoodWorkingは新鮮で、技術こそわかるようになったからこそ、「それは親の仇とるようにそこまで頑丈にしなくても…..」とか、「そのやり方はなかなか暴力的だな…。」とか思ってしまう内容もありますが、勉強になりますし、出てくる作品の芸術性には変わらずワクワクします。
(これがほとんど、日本のDIYerと呼ばれるような一般のハイアマチュアの作品というのですから、いかに米国の暮らしに木工が近いかが伺えます。)
懐かしい話になったので、私のことばかりですみませんが、これが生まれて始めて作ったサイドデスクです。
ホームセンターで、安い「でんどうどらいばー」と「のこぎり」と「のみ一本」と「くらんぷというやつのちょっとながいの」と「タモ」(新潟のホームセンターにはタモが売られているんです!驚き。このときはなんか「変な名前の木」としか思っていなかったなぁ。)を買い、会社の撮影スタジオで夜な夜な作っていました。(まだノブさんと出会う前です。)
これ、全部ビス一本使わない。ホゾ組なんです。のこぎりでほぞの凸を作り、のみで凹を彫り、インパクトドライバーに足を固定し、廻し、旋盤だぜ!と言ってひたすらサンドペーパーで足の先端をやすり、丸くしました。(旋盤の作業に8時間くらいかかり朝そのまましれっと仕事をしたのを覚えています。はじめて買った「でんどうどらいばー」はその作業の日に高熱を出して息を引き取りました。ごめんね….)
天板との留め付けにはビスを使わず、ほぞを飛び出させて抜き差しできるように。
あとあと、ノブさんに、「これ、何か意味あるの?木の使い方としてはちょっとおかしいかもよ〜」と言われ、「こだわりです!」と。
結局ここも上手にするコツを聞き、手彫り。
ほぞの凸だけ昇降盤を使わせてもらいました。
2つめはこちらだったかな…?
チャイルドチェア。どうしても前脚と後脚の角度を変えたいとだだをこねたら、
「めんどうくさいなぁ」とセッティングの仕方を教えてくれる優しいノブさん。
ほかにもたくさんお世話になりました。
さて、FineWoodWorkingは、現在は出版もしていますが、web会員(月額有料)になると、動画などでもTipsやコツなどを閲覧することが出来ます。
https://www.finewoodworking.com
私も少し前に自費にて会員になりました。
日々の暮らしのやくにたつ、とはなりませんが、木工が少しでも趣味であれば、サブスクリプションも楽しいと思います。
若輩ながら木工の指導をさせていただける現在は、あのときノブさんが熱心に優しく付き合ってくれた過去があるからです。
「つくりたい!という人と気持ちを歓迎する。」
「なにがわからないかがわかる。」
「やりたいこだわりに一緒に楽しんで向き合う」
すこしでもそれがアルブルに表れていたら嬉しい限りです。
もとから目指していた今ではないですが、届いたFineWoodWorkingをパラパラと見ていて、あの頃の熱い気持ちと、新潟のコンクリートから底冷えする工房の冷たさとが、蘇ってきたのでした。
アルブル木工教室だけでなく、ノブさんのようないろいろ教えてくれる「近所の家具屋さん」が増えたら、もっと日本のものづくりも米国のように身近になり楽しいんだろうな。と想い、またそんな時代に戻す?ために頑張ろう。と思ったのでした。アルブルが担い、目指すゴールはこんな場所を沢山存在させること。「受講料」が必要なくなり利益がでなければ、そのときはまた別の需要が生まれているはずで、そちらを頑張ればいい。(←今日は酔ってません)
(こんな回想録のような語り口ですがノブさんはまだバリバリ現役で家具屋をされ教鞭も取られています!たまにアドバイスを求めたりもしてます。笑)
そして、こんなブログを書いていたところ、インパクトドライバーの商品紹介をアルブルで是非、動画制作してくれませんか?とのメーカー様からのmail。ありがたやありがたや。
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