タモの両耳付板をご紹介します。
うちは北海道材専門で製材をしてきて70年になります。
北海道材というのはタモとナラ、うちでは主としてこのタモを多く製材してきました。
今は製材された板を仕入ていますが、10年ぐらい前まではこの大阪の平林で丸太を製材していました。今回ご紹介する板はその頃のうちで製材した材です。
寸法は長さ900ミリ×巾470ミリ×厚み50ミリです。
製材したときは2寸1分で挽いているはずなので66ミリだったと思います。
天日で干して天然乾燥させています。もう十年以上経つので乾燥は十分です。
詳しくみていきましょう。
まずこの板の欠点から。
残念なことに上から35ミリぐらいの割れが入っています。
この割れは小口の割れからきています。
小口が上の写真のように年輪に反って割れが入っていて、それが表に出てきています。
この年輪にそって割れが入ることはたまにあります。
この割れのところまで厚みを削ってしまえば消えるのですが、せっかくの厚みがもったいない気もするので、そこは購入された方の判断でしょう。
そして反対側、つまり下のほうには少し割れが入っています。
こちらの割れも木口につながっていますが、わりと小さい割れです。
あと、木口の写真をみていただくとわかるように、厚みが均一ではありません。以下にメジャーを当てた写真を載せます。
このように厚みが違う理由は、もともと66ミリの厚みの板だったのですが、長い年月天然乾燥させるうちに板が反ってしまいました。そのそりを治すために木の表面をまっすぐなるように削ったところ、裏側がそったままになった、ということです。
上の図で説明すると、木がAのように反ってしまったのでBのように上を削ったら下だけ反ってるCになりました。
もちろんDのように下をけずるとまっすぐな板Eにすることができるのですが、最終的な厚みを決めるのはこの板を購入されたお客さんなので、今削ってしまうと厚みの選択肢を狭めることになる。かといって表面をまっすぐに削らないとどんな木なのかわからないので表面だけ削った、という流れです。
なので購入されて使われるときは上も下ももう一度プレナーもしくはカンナをかけて仕上げる必要があります。
次にこの板の特徴をお話します。
タモは北海道の広葉樹で主に高級な家具に使われます。
写真をみていただくとおわかりのように、木目がはっきりしていて美しい材です。
とても硬い木ですが、加工はわりとやりやすい木です。
この板の木目を見てみましょう。
ちょっと変わってますでしょう?
通常まっすぐな木目なところ、縮れた感じになっているのがおわかりになるでしょうか?
もれは杢(モク)と呼ばれるもので、木に時々現れます。
一番有名な杢はメープルの杢で、バーズアイメープルと言われる杢じゃないでしょうか。
木目がクルッと丸くなっていて、鳥の目みたいだからバーズアイメープルって言われます。
それで、タモの杢は玉杢と呼ばれるんですが、この板は玉杢まではいかないけれどちょっと杢がでかかってるかなという感じですね。この杢がもっと出てるとすごく値段が高くなります。
耳の部分を見ていただくと、すごく凸凹しています。木肌がこのように凸凹していると杢が出る可能性が高いです。
まだちょっと日に焼けて黒いところが残っていますが、サンドペーパーをかけると綺麗におとすことができます。
もちろんこの凸凹が気に入らない場合は切り落としてしまっても大丈夫ですが、この自然の造形がこの板の特徴かなと思います。
寸法的にはダイニングテーブルを作るという寸法ではありませんが、小さいローテーブルを作るとか、店舗の看板に使うというのがオススメではないかと思います。
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