いつもストイックに打ち込まれているSさん。
家の間取りに合わせた家具をつくられています。
今回は可動棚のついたラック。
いつも同じ塗装をされています。お家のトーンにあわせてかな?
「あられぐみ」、という、やたらむつかしく、めんどうくさい技法を使っての加工。
木目も、事前に表裏、隠れるところ、見えるところ、
何度も算段して、変更して、つくられています。
木のおもしろいところは、木はいきものですから、木目や、加工での諸々など、
隠したい部分がたまに出てきます。
それに、対応するから、面白いんだと思うんです。
JAZZを聴くのと、演奏するのの違いみたいな。
木工って、つくるって、LIVEなんです。
侠気あふれるSさん、自分のこだわり、木の扱い、色々判断されて、
最善の方法をいつも選びます。
このタモ(家具によく使われる、ナラと並ぶ、良い木)の木目も素敵でしょう。
可動棚もばっちり。使い勝手の良い、大きい口に2枚の棚。
横にくる周りの板と段差をつけてます。これは、チリ、という立派な家具技法。
もちろん全部同じ寸法で切ったら、つくりやすいですよね。計算もカンタンですし。
でも、木は家具になっても伸び縮みします。
よこにくる板とたなの板を全部ぴったりの寸法につくったとしても、
いつかきっと、あれ?なんか、棚の方が前に出てるぞ。
みたいなことが起こります。
だから、チリをつけるんです。
皆さんもお手持ちの家具を見てください。
チリのついてない家具はきっと、フラッシュ構造(一枚の木に似せた木。もちろん全て木で出来ているので、賛否両論あります。)という、無垢材でない木を使ったものです。なぜなら、伸び縮みしませんから。
塗装はOSMOという塗料のローズウッドという色づけです。
タモはもっと木の色ですが、Sさんはローズウッドが好きなんです。
そこはゆずりません。笑
Sさんの個展が、Sさん宅で出来るくらい、色々つくられています。
芯をもっていて、侠気あふれるSさん。
でも、「こうやったら、早いですよ。」と一言かけると、
「はぁ、そうか〜!」と反応してくださいます。
ほんとに、こういうときが、教室冥利に尽きます。
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